第二回・危機管理

通勤時不意に訪れる腹痛(便意)を各フェーズごとに再現し、「絶対に起こしてはならないカタストロフィ」の水際での予防を目的としたセッションである。

フェーズ0:「準備」

今朝はいつもより早起きしたせいか、普段なら手を出さない牛乳をコップに注ぎ飲み干すあなた。
こんな日は少し早めに出社してやるか!などと思うも、結局はいつもと同じ電車に駆け込み、見慣れたメンツと共に都心へと運ばれていきます。

フェーズ1:「疑惑」

脳内BGM:Brade Runner (End Titles)
「それ」が訪れたのは、地元の駅からまだ2駅しか通過していない全行程の1/10程度の地点。久々に経験するあの嫌な感じと不安を募る曲が頭の中で流れ始めます。

でもまだ大丈夫。
いざとなりゃ、あと5分もすれば乗り換えの駅だし、なんだか「波」もだんだん収まりつつある。会社についてからPC起動してる間に済ませればちょうどスッキリだ。そもそも遅刻するわけにはいかないんだなぁ人間だもの。

などと今の自分を楽観視出来る状態を指します。
このフェーズでは腹の具合と今置かれている状況とのパワーバランス的に、「社会的な自分」がまだ優勢であり、漠然とした不安をかき消すだけの余力は十分に残っています。

フェーズ2:「後悔」

脳内BGM:KNOCKIN' ON YOUR DOOR(L⇔R)
実際にKnockin'しているのは別のものなのですが、ともかく「セカンドインパクト」と呼ばれる第二波があなたの下腹部を襲います。
フェーズ1の警告を無視した人間に対する神の怒りに相応しく、直下型の衝撃が走った後に、断続的な揺れが容赦なく押し寄せます。

お、落ち着け!素数を数えて落ち着くんだ!
まず俺は急行に乗っているッ!ゆえに途中下車という選択肢はないッ!
つまり!
走りきるしかネェんだよスモォォォォキィィィ!!!

さっきの乗り換え駅でなぜ済ませなかったのか?
そもそも、なぜ牛乳を飲んだのか?
といった自分への呪いの言葉が頭の中を駆け巡る最中、JOJOネタ満載なミニコントを自虐的に演じることでしか肉体と精神の崩壊から身を守る術がない状況です。唯一の救いとしてまだ気持ちが前向きなところと、BGMの選択にウィットさが含まれている点に僅かながらも余裕がある証です。

フェーズ3:「死に至る病、そして」

脳内BGM:The Imperial March (Darth Vader's Theme)
会社まであと1駅。
悠久とも思える地獄の時間の中、

海は枯れ、地は裂け... あらゆる生命体が絶滅したかにみえた... だが...
腹痛は 治まってはいなかったァ!

千葉繁が絶叫するほど、体内はリアル北斗の拳状態に追い込まれています。
鷲巣様ではありませんが、「もはや姿勢が保てない」状態のあなたは、他人からどう思われようが、額に油汗を浮かべながら全神経を括約筋に集中するしか術はありません。それにしても駅はまだなのか...?

フェーズ4:「Apocalypse Now」

脳内BGM:アーケード版テトリス(もう少しで積みあがってしまう時の曲featuring猿)
来たるべき「審判の時」を待つだけの状態です。
薄れ行く意識の中でこう思うでしょう。

母さん*1
東京は恐ろしい土地なわけで。
別に東京がどうこうしたわけではないのですが、無意識に北の国からテイストになってしまうくらい追い込まれているわけで。

そうこうしているうちに、電車が待望のスローダウン。どうやらやっと着くようです。
まさに地獄に仏...カンダタに糸...カンダタこぶん...じごくのよろい...
加藤芳郎ばりに連想ネタを出し続けることでなんとか正気を保ちつつ窓の外を見ると、ある違和感と同時に衝撃の車内アナウンスが。

ところがどっこい!駅じゃありません!
信号です・・・・!停止信号っ・・・・!




振り返りセッション

いかがだっただろうか。フェーズ3くらいまでは誰しもが経験があるのではないだろうか?
中には「フェーズ2なんてしょっちゅうよ!」なんて人もいるかもしれませんね。
ちなみにフェーズ3常連組の私からアドバイスさせてもらうと、

1にて下車せよ。さすれば4は避けられん

の一言に尽きます。
どうぞ危機管理にお役立てください。

*1:こういう一大事の時に母親の顔が浮かぶのは何故なんだろう。